複利の功罪 [基礎知識]
アインシュタインが「人類最大の発明」だと述べたのが複利です。それだけ、複利は資金の巨大化に役立つのですが、実は、下手をすると資金の減少を加速するリスクも持っています。
単利運用をして100%の利益が出たとしましょう。
この時点で資金は2倍になっています。
資金が増えたので、2倍になった資金を全額投資して50%の損失を出したら・・・
資金は最初の金額に戻ってしまいます。
100%の利益が50%の損失でチャラになった!
これが、複利のマイナス面です。
上記の例はわざと極端な設定にしていますが、これと本質的に同様なことが起こるのです。
上記の例ではドローダウンが大きかったのがマズイのであり、複利はドローダウンの小さな投資ロジックと組み合わせて行うのが良いのです。
ハイリスク・ハイリターンのロジック × 複利 ⇒ 危険大
ローリスク・ミドルリターンのロジック × 複利 ⇒ メリット大
ということです。
ツール任せでは勝ち続けられない [基礎知識]
「ツール任せでは勝ち続けられない」
裁量トレードでは当たりまえですが、自動売買においても、やっぱりツール任せでは駄目なのです。
例えば、優れた自動売買があれば一時期資金を増やすことができるかもしれませんが、必ずパフォーマンスの波はあるので、負けが続く場面がいつかやってきます。その時に、適切な判断を行えるかどうか。それが重要です。
「システムの運用を中断した方がよいのか?」
「それとも、まだ運用を継続すべきなのか?」
その判断いかんによって、破産するかもしれません。ツールはあくまでツールであり、重要な判断はできません。トレーダーは、要所要素で重要な判断をしなければならないのです。その時に、投資の総合的なスキルが問われます。
いま、自動売買などの“お手軽”投資法が流行っていますが、その裏ではプロ仕様のしっかりした投資法を身につけようとする人も少なくありません。一度、本物の投資スキルを身につければ、それは一生の財産とも言えます。当初は一定の努力が必要ですが、長期的に見れば、次々に投資ツールを乗り換えるのよりも効率的です。
そして重要な点は、自動売買を行なうためにも本来必要なスキルである、ということです。
そうしたプロ仕様の投資法を学べる教材は限られています。
例えば、FXなら佐野裕さんの【マエストロFX】などがその例です。
“お手軽”を追い求めるのか?
それとも、本物にチャレンジするのか?
どちらが得策だと思いますか?
リスクを考慮した利益率の評価 [基礎知識]
前回の記事の結論は、
「リスクは金額で表してみないとわからない」
というものです。損失率のような「割合」を見ているだけは、本当のリスクの大きさが見えないのです。
これと似たような状況にあるのが、複数の投資法の利益率を比較する場合です。単純に利益率(年利など)を比べても、本当の優劣はわかりません。
なぜなら、それぞれの投資法で(割合で見た)リスクの大きさが違うからです。投入できる資金量の最大値は、(割合で見た)リスクに依存します。(金額で見た)リスクが自分の受け入れられる金額の最大値を超えないように、資金量を調節しなければならないからです。
いま、自分が受け入れられる最大限のリスクを取る事にすると、(割合で見た)リスクが2倍になれば、投入できる資金は半分にしなければなりません。すると、(金額で見た)利益も半分になります。
つまり、複数の投資法の利益率を比較する場合、リスクを揃えて比較しないと意味がないのです。
簡単な例:
投資法A ⇒ 利益率20%、リスクの大きさ(相対値)2
投資法B ⇒ 利益率15%、リスクの大きさ(相対値)1
リスクを揃えると、比較すべき利益率は、
投資法A ⇒ 20%÷2 = 10%
投資法B ⇒ 15%÷1 = 15%
となって、投資法Bの方が優れている。
リスクは金額で考える [基礎知識]
リスクの大きさを把握する場合には、金額に換算してみるべきです。
その理由は、次のようなものです。
■ 率(%)では、実際の大きさがわからない。
■ 資金量を決める場合に金額換算が必要。
自分が受け入れることのできるリスクの大きさは率(%)で決まるわけではなく、金額で決まるのです。
例えば極端な話、全資金量が1,000万円の人が10万円で株を買ったとします。その銘柄が倒産して紙くずになれば、損失率は100%です。しかし、資金量から考えれば致命的ではないですよね。「痛くも痒くもない」とは言いませんが、投資を継続するのに何ら不都合はありません。
一方、同じ人が1,000万円全額投資して、30%の損失を出したとします。金額に換算すれば300万円です。今度は、かなり痛いですね。
このように、リスクは金額で表してみないとわからないのです。
投資に絶対必要なスキル(4) [基礎知識]
いま自分が行なおうとしている投資で破産する確率がどれくらいあるのか。これは投資家にとって最も知りたい事の1つでしょう。
バルサラの破産確率はこの問いに対して理論的な目安を与えてくれます。
バルサラの破産確率は勝率とペイオフレシオと、1取引でリスクにさらす資金のの割合の3つをパラメータとして求める形になっています。
一般的なペイオフレシオに対する計算はそこそこ難しいのですが、ペイオフレシオが1の場合(1取引で発生する利益と損失が同額の場合)には比較的簡単に計算できます。
ペイオフレシオが1とは、次のような問題を考えることと同じです。
① 最初にコインをN枚持っている。
② コインを1回に1枚ずつ賭ける。
③ 勝てば、1枚のコインが2枚になって戻ってくる。
④ 負ければ、賭けた1枚のコインを失う。
⑤ コインが無くなったら破産。
⑥ 勝率がPのときに、破産する確率Q(P,N)はどうなるか?
この問題は高校数学の「数列の漸化式」を使って解くことができます。
結果だけを示します。
計算の結果:
σ=(1-P)/Pとして、
Q(P,N)=σのN乗
となります。
意味のある場合、つまり利益期待値がプラスの場合は0<σ<1なので、Nが大きくなればなるほど破産確率Q(P,N)が小さくなることがわかります。
投資に絶対必要なスキル(3) [基礎知識]
実際の投資では、資金を増やす前にある程度以上資金を減らしたらゲームオーバー(=破産)です。
“ある程度”というのは人によって異なると思いますが、資金がゼロにならなくても、それ以上投資を継続できなければ破産です。
破産しないようにするには、全投資資金に対してリスクにさらす資金を十分に小さくしなければなりません。
“十分に小さく”というのがどれ位なのかは、投資戦略の内容によります。バルサラは、勝率とペイオフレシオとリスクにさらす資金の割合をパラメータとして、破産確率を計算しました。これが「バルサラの破産確率」です。
投資を行うのであれば、1度は「バルサラの破産確率」を学んでおきたいところですが、これが意外と簡単ではないようです。ネット上にある情報には間違いが多いのだそうです。
一番確実なのは、バルサラの書いた原典を読むことです。
Money Management Strategies for Futures Traders (Wiley Finance)
ただ、英語で書かれているため、ハードルが高いかもしれません。その場合は、次の書籍が参考になります。
システムトレード 基本と原則(パンローリング)
投資に絶対必要なスキル(2) [基礎知識]
あらゆる投資手法に共通して必要なスキルに、リスク管理や資金管理があります。これらは、利益に目が眩むと、ついつい忘れてしまいがちですが、長期的に稼いでいる投資家は絶対的に重視している項目です。
リスク管理・資金管理は「守り」の技術です。確率的に勝敗が決まる投資において、自分の思い通りに行かない場合でも大きなダメージを被らずに投資を継続するためのスキルです。
かつてカリスマ投資家と呼ばれた人たちにも、リスク管理・資金管理が甘い人が多かったようで、その後、マーケットから姿を消したカリスマ投資家が少なくありません。
相場に関してリスクと言うと、予想と逆に値が動いて損をするケースを思い浮かべると思いますが、これは「価格変動リスク」と言って、数種類あるリスクの1つに過ぎません。
他にも個人投資が知っておくべきリスクはあります。「信用リスク」や「流動性リスク」などがそうです。
「信用リスク」は株式投資で考えるとわかりやすいのですが、会社が倒産したりして株券が紙くずになる、といった類の話です。
また、「流動性リスク」は売買したい時に売買できないリスクです。取引量が少なかったり、取引の方向が(買いか売り)一方に偏りすぎていると、取引したい時にできません。損切りしたいのにできず、含み損だけが膨らんでいくという恐ろしいことになります。
一般的な個人投資家は、「信用リスク」や「流動性リスク」には近づかないように注意し、「価格変動リスク」だけで利益を狙うようにするべきです。
投資に絶対必要なスキル(1) [基礎知識]
裁量トレードでもシステムトレードでも、もちろん、自動売買でも必ず必要となるスキルがいくつかあります。その1つが、現在行っているロジック(エントリーやエグジットの決め方)が相場に合っているかどうかを判断するスキルです。
システムトレードであれば、数値的に結果がハッキリ出るので判断しやすいですね。裁量トレードでも成績の結果をもとに判断する事になります。
重要なのは判断の根拠です。
なんとなく、このロジックはもう駄目そうだ、というのではなく、統計的に考えて明らかに異常事態だ、という風に判断できるかという事です。
そのためにも、確率や統計の初歩的な知識は学んでおきたいですね。
バイナリーオプションの動向 [基礎知識]
昨年(2011年)は“バイナリーオプション元年”みたいな年でしたね。バイナリーオプション自体は2009年頃、日本に上陸をしたはずですが、本格的に注目されて実践者が増え始めたのは昨年です。
バイナリーオプションのエントリーサインを発生させるツール(ソフト)が次から次へと販売されました。
バイナリーオプションのメリットはシンプルであり、気楽に実践できることだと言われています。
しかし、投資であるかぎり、気楽にできて大きく儲かるはずがありません。気楽にできるということは損失が小さいと言うこと。それはエントリーする投資資金を小さく抑えれば・・・、ということです。
つまり、気楽なやり方をしている限り、利益も小さいのです。
ただし、そういった小さな利益も積み上げれば大きくなります。ものすごく多くの取引を行えば、(1取引あたりは)気楽なやり方であってもまとまった利益を得る事は可能なのです。
しかし、これを人手で行う事は困難です。24時間パソコンに張り付いて注文を出すことはできないからです。
そこで、今年に入ってからはバイナリーオプションの自動売買システムが販売されるようになりました。
例えば、「ザ・シークレット」という自動売買システムがあります。このシステムの開発者は、バイナリーオプションで稼ぐためには自動売買が不可欠だと断言しています。
おそらく、バイナリーオプションの自動売買システムは今後増えていくものと思っています。
投資の自由度とバイナリーオプション [基礎知識]
FXなどの一般的な投資種目はかなり自由度が高く、いろいろなスタイルのトレードが可能です。
高い勝率で細かく利益を積み上げていき、たまに訪れる大き目の損失は我慢する。あるいは、逆に、勝率の低さは我慢して、勝つときには大きく利益を取る。どちらのスタイルでも最終的に勝つことは可能です。
そのほかにも、利用する時間軸(1分足、5分足、・・・、日足、・・・)や、ナンピンを行うかどうか等、選択しが多いですね。
力量のあるトレーダーにとって自由度が高いのは良い事でしょう。しかし、投資初心者にとっては、必ずしも良いとは言い切れません。成功体験がない状態で自由度が高いと、どうしたら勝てるのかわからず、負け癖がついてしまったりするからです。
その点、最近流行りのバイナリーオプションは、初心者に良いかもしれません。ルールがシンプルで自由度が低い反面、最終的に勝つために必要な事が明確だからです。
つまり、あれこれ色々なところで悩まなくても良いのです。考えなくてはならないポイントは2つとか3つとか、そんなもんです。初心者でも、集中できるのです。